特別な桜

HITS2011-04-08

今週のお題「桜」


 以前読んださだまさしのエッセイに
花見のコツとして
どこに咲いているどの桜でもいいから
それを己の桜に定めて毎年通うこと
なんてのことが書かれていた


僕にとっての桜、
それは自宅のすぐ側に咲いている1本の桜。


 今の住居に引っ越ししたのは
ちょうど春の手前ぐらいの頃
『大きな木があるな』
最初はそれぐらいの思いだった。
あまり気にもとめていなかった。


その木は、春めいた陽気の中
少しずつ花を開かせ
ある日、満開を迎えた。
思わず見とれた
心惹かれた。


何気なく咲いている花が
これほどまでに綺麗とは
桜の花ってこんなにもいいものだったのかと
思い知らされた
気にもしていなかったからこそ
心に入り込んできたのかもしれない。


通り沿いに咲くその桜は
人にとっては良くある桜の1本にすぎないかもしれない
しかし、その日から僕にとっては
特別な存在となった。
春を告げる
春を楽しみにする
1本の桜となった。


 今、満開のその桜、
−仮に彼女と呼称しようか−
を見て僕は出かけ
彼女に迎えられ、
家へと帰っている。
春を感じながら