攻防戦

 子供の頃に良く行っていたスーパーの一角には
ちょっとした食べ物を売るお店があった。


今で言えばフードコーナーってところだろうか。
まあ、あんなにこじゃれた感じもなく
ある意味で掘っ立て小屋的なぐらいの
小さな間取りのお店だったが。


商品は焼き鳥に鯛焼き
夏場になるとかき氷なども売っていたかと思うが
買った、いや買ってもらったのは主に前者の2つ。


 ちょっとしたご褒美みたいなものだ。
母の期限が良かったのか
本人も食べたかったのか
そんな時ぐらい
たまの機会であることは重々承知。


それでもその”たまに”が今日も無いかと
ちょっと遠いそのスーパーに行くことをせがみ
ねだった。
大抵は希望叶わずだったのだが(笑)。


 だから、スーパーで買ってよとせがむ子供の気持ちは
よくわかる。
あの頃の自分と同じだなあと。


そして大人になってみるとよくわかる。
ダメの一点張りもあるが
違う方に興味を向かせ誘導する
親のテクニックの旨さも。


今日もどこかで親子の攻防戦が繰り広げられている。
こればっかりは永遠に無くならないのだろうなあ。