停電

 停電を体験した。
僕の住んでいる地域は16日
夜の部、18時以降の計画停電担当地域
暗い夜を、と言っても一定時間だけだが
過ごすのかと思っていた。


 帰宅直後は停電もしておらず
テレビから流れる一部地域だけ停電のニュースも
別世界の話だと感じていた
その矢先、やってきた。
いきなり電気が消えた。


正直言って、何もする事がない。
というより、何も出来ない
が正しいか。
日々、どれほどまでに電気に頼っているのか
よくわかる、わからせられる。
明かり一つ無ければ、慣れた自宅すらも
ろくに動き回る事が出来ないのだから。


 表に出てみる。
皆、落ち着いて淡々としている。
時折物珍しそうに
停電の風景を写真に収める人もいたが
概ねは帰路を急いでいた。
まあ、これが”計画停電”であったからこその風景であり
もし急な話であれば、堂だっただろうか。
ここまで落ち着けていただろうか。
疑問に残る。


 当たりを見回り1時間が経過
ビルやマンションの非常灯も
ここらが限界と見えて、
街がどんどん暗くなっていく。
ふと空を見ると、東京の空とは思えないような
美しい夜空が広がっていた。


いつも輝いている月や星は
遮られるモノが無く
より美しく見えるのだった。