サイン・コサイン・タンジェント

 中学の頃、一番好きな・得意な授業は”数学”だった。
「数学の答えは必ず一つにしかならないから。」
そんなことを言っていた記憶がある。


 それが高校に入って一変した。
僕の数学が全く通用しない世界。
何の因果か間違いか”赤チャート”で遊ぶような連中の世界に放り込まれたから。


 僕が縦・横の2次元世界でいるのに
彼らは高さの概念を持ちあわせていた。
そして、そこに床をもうけ、次々に上へと。
おかげで僕のいる場所はあっという間に
影となる。


 あれはショックだったなあ。
5点の答案。
表で5点かと思ったら、トータルでだもの、
まいっちゃったよ(笑)。


 結局僕は回避する道を選んだ。
”高等数学”の世界を避け、
別の道へと。


 ”逃げる”と言われればその通りかもしれない。
しかし、続けて惨めな気持ちになるよりは
他のおもしろさを見つけられた方が
よっぽど良かった、今はそう思う。


 全く触れることのなくなった世界、
表題のあれなどは特に異次元。
未だにわからない世界の言葉。


 手元のマウスを動かして
EXCELを起動すれば計算結果は即時に現れる。
僕は道具を手に入れた。


 しかし使い方がわからない。
未だに高等数学の世界では
2階に上ることはできないようだ。