電車

 青い空を久々に眺めた。
実にすがすがしい
これが長蛇となった
バス待ちの行列から見るのでなければ
より感動を増したのであろうに。


車内放送は相変わらず
謝ってるのかいないのかよくわからない調子で
同じ言葉を繰り返す。


JRにしてみれば、
自然相手で仕方ないじゃないか、
我々に非はない、
そんなところだろうか。


まあ完全に外れとは言わないが
とはいえ、気が短い人であれば
怒り出すだろうなあと思わず苦笑したくもなる。


 各駅に電車が詰まっているが
全線ストップと案内が変わり
振り替え輸送の使用を連呼し始めた。
らちがあかないその様に
一人、また一人と諦め車内を去っていく


空いた座席は待ち付かれた人を一瞬の安堵に導く。
されど、容赦なく続く復旧見込み無しの言葉
未練は残る。されど行かねばならぬ。
葛藤を見せつつ人はまた
駅外の行列を構成する一員となるべく足を外に向ける。


 しばしの抵抗を続けてみた。
そんなに長くはならないだろうと思っていた。
しかし潮時だ。
自分の決めたリミット時間を超えた。


『仕方あるまい』
僕も車外の人となる。
そして冒頭へ。
あまりに長い行列に心がめげそうになる。


 青空はひたすらに僕を誘う。
それは僕に”休み”という名の一時の快楽に
身をゆだねることを促す。


行列を抜け、歩き始める。
残念ながらその行動は
私鉄への乗換駅まで歩くことだったが。

 
 久々に動く電車を眺める。
動くことを拒否したJRと
いつものように動く私鉄
何が違うのだろうか?
安全基準、思想の違い?
よくわからない。


 こうして僕の午前中は終わった。
朝の3時間でやるべき仕事は
午後へと周り
ハードな一日を約束して。