三度の食事

 食事に気を遣いましょう
と言われる。
肉ばかりではなく野菜も食べてバランス良く
海藻などミネラルも取得しましょう云々。
本屋に行けば、山ほどその手の本が売っているし
ネットで一言、”バランス食”とでも検索すれば
いくらでも情報が手に入る。


その手のモノをちらっと見ているだけでも
専門的な知識はなく
なるべく野菜を取るようにする程度の僕などは
おそらく落第候補生なんだろうなあと思ってしまう。
出来る範囲で気にしているつもりだけどね(笑)。


 老人ホームでの食事メニューを見たことがあるが
ずいぶん立派な食事だった。
栄養士が管理して決めたバランスの取れた食事。
当然ホームにもピンからキリまであるのだろうが。


こんな食事を取れるなんて
お爺ちゃん・おばあちゃんはさぞ幸せだろうと。
本当にそう思う?
と、ある本での語りかけ。


 僕等がバランスの取れた食事をするのは
健康な生活を送るため
今後を見据えて。
それは老若男女を問わず同じだろう。
しかし中には今後が収束に向かう人もいる。
簡単に言えば、後はお迎えを待つばかり
それまで安らかに生きられればいいという方もいるということ。


 あと如何ほど生きられるか
この食を味わえるか分からない
それならば健康のためという名目で
苦手なモノを食することもなく
好きなモノだけを口にしたい
なるほど、確かにそうだと。


 老人と言えば肉などを食べずに
野菜などを細々となんてイメージは払拭した方がいい。
人によっては80を超えても
ステーキのような肉の塊を食べたがる人もいるのだ。


そんな人にほら、長生きするために
野菜を海藻を食べましょう!とやっても
好きな肉を取り上げて
果たして幸せと言えるのだろうか。


 ただ勘違いしないで欲しい。
予算など様々な制約の中
苦心してメニューを決めている方々を
責める話ではない、これは。
むしろ、その仕事には尊敬できるものと思う。
また、好きなメニューだけ与える事なんて出来ない現実があることも
わかっているつもりだ。


ただ、そんな考えもあるということは
事実として捉えておく必要があるのだろうなあ、と。
僕等もいずれはその位置につく。
その時どうしたいか、どうなるか
決して他人の話ではないのだから。