無くなる

 コンビニが1軒閉店した。
始まりがあれば終わりがあるように
別段それ自体は珍しくないこと、かもしれない。
しかし僕の中でそこは違った。


と、書くと何か深い思い出でもあるように
聞こえるが、実際は無い。
ごく普通のたまに訪れる客の一人に過ぎなかった。
僕は。
では何に思い入れがあるのか。
それは当たり前のようにあったということ。


 この街に越してきた時から既にそれはあり
窓から見える明かりは
僕の日常の一つだった。
その明かりが今はもう無い。
夜寝る時、窓の外をふと見たその時に
慣れない自分がいる。


生活が劇的に変わるほどの影響があるのでもなく
ただ明かりがない。
ある意味で、そこにいた人がいないということが
こんなにも寂しく感じるものなんだなあと
つくづく思う。


ただあること。
ただいること。
それだけで幸せって事が。