ある日、ふと見上げた視線の先に
日本式家屋の屋根が映った。
闇夜を背景にそびえるそれは
非常に美しく、また雄大なものを感じさせた。


 ”美”は芸術が担当するものであり
他はそれを意識しない
簡単に言えば美術の時間で習う範囲だけが
美を扱うものと考えていた時期がある。
随分子供の頃の話。


 しかしながら世の中には
多くの”色”があることを知るようになるにつれ
”美”や”デザイン”は特殊なものではなく
常にそこにあるということにようやく気がついてきた。
今更ながらの開眼というところか。
いや、まだだいぶ目は閉じていると思うが。


例えば機能とデザイン、どちらを取る?
という話が上がると
機能に意識が集中してしまう。
単純な二者択一で考えるべきではないと思うが
どうしても


デザインや美が無駄なものと
どこかで思っているのだろうか
いらぬ付加価値を与えるものと
思っているのだろうか。


三つ子の魂百まで、なのだろうか。
いや、そんなことをうまく表現しても仕方ないのだが。