絵の世界に触れて思う

 小・中学校時代
苦手だった授業の一つが
美術だった。


絵はいかに”本物”に近づけるのか
そう考えていた僕にとって
描かれるモノはイメージと遙かに異なり
絵が苦手、その一事を持ってして
美術の世界から身を遠ざけることとなった。


 たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチモナ・リザにしても
その絵としての価値は
いい絵だね、程度にとどまり
何世紀頃に描かれたという様な
歴史的事実だけ覚えようとしていた。


絵を描くことに対する点が期待できない以上
そういった暗記項目で点を稼ぐしかないからと
今にして思えば
ずいぶんと貧相な話だ。
まあ、今だからこそ、そう思えるのだろうが。


 たまたま本屋で画家ごとの作品集を手にした。
特に何かを見たくなってというわけでもなく
ほんとにたまたま手にした。
絵ってのはこんなにも幅があり
世界があるのかと思い知った。
夢中でいろいろな人の作品を手に取った。
初めての感覚。


一番気に入った作品集
その背表紙にはルノワールとある。
名前だけ知っていた存在が
初めて絵として飛び込んできた。


しばらくその世界観に浸ってみたい
そう思った午後の一時。