愛猫の想い出

 実家の飼い猫に
ミーコという名前の雌猫がいた。
白黒斑模様、
わかりやすく言えばホルスタイン、乳牛模様で
しっぽは鍵状の短め
飼い主のひいき目を差し引いても
割と美形な猫さんだったと思う。


 いわゆる捨て猫って奴で
それもあってか懐きつつも、
どこかに警戒のそぶりが見えたり
かとおもえば一人でいるのを寂しがったりしていた。


そういえば、他の猫が自分のテリトリーに入ってくるのを
非常に嫌っていた。
ようやく得た安堵の場所を奪われる
そういう気持ちがあったのかもしれない。
彼女の中で。


 思い出す姿は色々あるのだが
特に一つと言われると雨の日の光景を思い出す。
軒先に座り込み、じっと外を見つめる。
ただひたすらに、微動だにせず1時間、2時間と
あのときは何を考えていたのだろうか。


単純に外で遊べないことを寂しがっていた?
いや、それ以外にもあったと思うのだ。
わざわざ雨の当たりそうな場所で
じっと見つめていたと言うことに


 そうして生きて18年。
とある夏の日、かなり衰えてきていると
実家の母より連絡があった。
これが最後かもしれないと
週末に会いに行こうとしたのだが
その前日、金曜日、突如としていなくなった。
締め切ったはずの部屋、
ドアを開けるのもかなり無理であったろうに
衰えた我が姿を見せたくなかったのだろうか・・・。


幸か不幸かそのことにより、
僕の中での彼女の姿は
元気な頃のままである。


 今も実家に帰ると、ふと押し入れを見てしまう。
積まれた布団の上で寝るのが指定席だった。
なんとなく、まだそこにいる気がしてしまう。
あれからもう3年。