無いこと

 あるべきものが無いことに対して
僕らは悲しみを抱く。
欠けたものへの意識が集まり
画竜点睛を欠くが如くにして


しかし一方で
欠けた何かがあることは
想像をかき立てることにもなる。
そこには本来、
どんなものがあったのかと
思いをはせることが出来る。


 夜の街は欠けた何かであふれている。
街は人が人のために作っている
故に、人の存在があって初めて完成と呼べるものが
数多く存在する。
学校、お店、公園・・・
どれもこれもにおいて


それらを見たとき
自分の心の中に
自分の考える完成型を描くことが出来る。
人を失って未完成の状態にある何かが
どの様な姿であるべきかを。


”正解”を確かめるのもいいだろう
自分の心の中の完成型で満足するのもいいだろう。
ふと見た景色
何気ないものに
実は多くが含まれている。