あの頃の

 貧乏大学生をしていた頃の楽しみの一つが
週末に刺身とビールで一杯やる事だった。
と言ってもそんな高級品じゃあない
スーパーの売れ残りの刺身に缶ビール
値段にしてみれば千円もいかない世界だろう。
ホント、ささやかな幸せであった。


 醤油にハウスのチューブわさびを
多めに溶く。
そのムダに効き過ぎたわさびを刺身につけ
口に入れる。


醤油とわさびそしてかすかに感じる魚のうまみ
これらを口で味わった瞬間にビールで流し込む
これが妙に好きだった。
美味しんぼの世界でそんな事をしたら
「お前の食べ方はなってない!」って
怒られるような食べ方だけどね(笑)


 正直な話、
今、それをやろうと思えば
好きなだけ出来たりもする
でもね、あの頃、あのとき味わったからこそってのも
あるんだよね。
だからたまにしかやらない。
何かを思い出したいときにだけ。